私立大学戦略的研究基盤形成支援事業

プロジェクト研究成果発表会 平成26年7月30日(水)開催

工学部キャンパス内において、文部科学省私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「地域連携による次世代自動車技術に関する研究」平成21~25年度プロジェクト成果発表会を地域の企業、団体、行政の方々を対象に開催しました。当日は、学外から71名、学内36名、合計107名の参加がありました。

基調講演

「マツダのモノづくり・人づくり」

マツダ株式会社 代表取締役会長
金井 誠太 氏

基調講演

【要旨】

マツダのものづくりは、Zoom-Zoomで表現した「ピュアな気持ちを忘れない」「走る歓び、運転する人が主人公である」という理念と、マツダの革新的な新世代技術“SKYACTIV TECHNOLOGY”が目指した「未来に続く青空を守り、その青空の下を気持ちよく走りぬけたい」「大空のように可能性は無限(The SKY is the limit)」に込められている。マツダの人づくりについては、「足元ばかり見て進んでいると、道を見失いやすい。遠くの目的地を見れば、足元の進む道を正しく選ぶことができる。そして、イノベーションの現場では、実現したいという強い思いが大切である」とし、最後に「日本の最大の資源は人である」とメッセージがあった。


研究成果報告

1. プロジェクトの概要

工学部 ロボティクス学科 教授 竹原 伸 

研究者写真

【要旨】

「環境、安全、快適性に関わる先導的な研究」「研究成果から次世代の独創的な実用化シーズを創出」「次世代基盤技術研究所を中心に自動車技術の学の研究拠点を形成」による地域産業の活性化に貢献することを目的に、テーマ1「安全・環境・利便性を向上するエレクトロニクス技術の研究」、テーマ2「環境対応型新材料・新加工技術の研究」、テーマ3「省エネルギー化に貢献する流体工学応用技術の研究」を実施してきたことを説明し、その成果の公表状況やプロジェクトによる外部資金,論文,特許の件数について述べた。

2. メータ文字盤の外観検査の自動化

工学部 情報学科 教授 田中 一基 

研究者写真

【要旨】

自動車のメータ文字盤の外観検査で検出すべき欠陥の種類を踏まえ、自動化技術(搬送系と画像生成系)の研究内容を説明。今後の課題として「多くのサンプルによる欠陥検出の評価と実用化開発」「凹凸が殆ど無いヨゴレやムラなどの欠陥検出の手法の開発」を掲げ、今後も残された課題を解決する研究開発を継続すること、特に位相限定相関法に基づく位置ズレ修正法と,画像照合による凹凸欠陥の検出手法の開発について取り組むこととした。

3. 自動車部品の調整技術を展開したPLAの医用材料への応用-カーボンニュートラルから生分解性へ-

工学部 化学生命工学科 教授 白石浩平 

研究者写真

【要旨】

カーボンニュートラルなバイオプラスチックのポリ乳酸(PLA)について、研究の現状と課題および研究体制図、また年度ごとの主開発目標の関連図を説明。研究当初は樹脂・ゴムの基盤技術開発をべースに、中期目標を環境に優しい植物素材の利用を物性や機能を保持しつつ行うことに置いた。研究終盤は販売を目的とした商品開発やさらなる機能性の付与を行うため、商品開発で重要となる安全性評価(動物実験等を含めた新しいバイオ評価技術の構築)を、商品開発と並行して行い、安全性の高い環境低付加材料の短期間での実用化を目指した。

4. 接合ツールの役割に着目した摩擦攪拌点接合技術の開発

工学部 機械工学科 准教授 生田 明彦

研究者写真

【要旨】

接合ツールのねじは、摩耗で攪拌能率は低下するが塑性流動領域への影響は小さく、調整により継手性能への影響を限定的にできる。三角柱型プローブツールは、材料が排出されるような塑性流動を示し、塑性流動領域を拡大させる働きを示唆。これにより、渦溝ツールを用いた接合プロセスの有効性、および接合プロセスの基礎的知見を得て、積極的に塑性流動を発生させるために、切削工具の知見を使い、優れた性能を有する新たな接合ツール形状を提示した。

5. 金属薄板材料の異方性評価とその数値シミュレーション

工学部 機械工学科 准教授 上森 武

研究者写真

【要旨】

金属材料の弾塑性変形挙動を正確に記述できる材料モデルにより、有効なFE解析手法を確立した研究背景、および金属薄板の変形挙動で問題となる「バウシンガー効果」と「塑性異方性」を高精度に再現する数式モデルの開発(Yoshida-Uemori モデル)を説明。この数式の有用性を示すことができたとして、上記数式が汎用FEMで使用可能である(共同研究により実装済みの商用ソフトも存在する)ことを述べた。

6. 高効率水素直噴エンジンの混合と燃焼

工学部 機械工学科 教授 田端 道彦

研究者写真

【要旨】

高圧水素噴射システム(混合制御システム構築)、高圧水素噴流の混合と燃焼(過濃度水素燃焼の可能性確認)、水素ロータリエンジンへの適用について説明。高圧水素噴射システム構築により、噴射時期を遅角化することで、燃焼室内に高濃度水素混合領域を形成可能であることが判明。高濃度水素燃焼による急速な燃焼実現で、水素ロータリエンジン燃焼室内の高濃度燃焼による急速部分燃焼を確認し、BMEPが最大値をとり,同時にNOxを低減可能であることを実証。また、噴孔パターンの変更で高濃度水素混合を制御できることが分かった。

7. 速さや向きが時間的に変化する風を受ける自動車の空気力特性

工学部 機械工学科 教授 角田 勝

研究者写真

【要旨】

テーマ3の研究意義、風速可変型風洞の基礎実験(定常風下での予備的考察)、変動風(脈動風)遭遇時の空気力特性、横風変動遭遇時の空気力特性について説明。本研究により、変動風(風速や風向変化に対する、あるいは車が横運動する場合の応答空気力特性が把握・予測可能となり、安全走行への向上を目指す評価指標が得られつつある。さらに、これらにより非定常流下での自動車の空気抵抗低減と直進安定性向上を両立する新しい空力特性革新技術を確立することが期待されると述べた。

8. 粉末冶金法を用いたMg系合金の創製と水素化特性

工学部 機械工学科 講師 信木 関

研究者写真

【要旨】

ボールミル(BM)処理およびパルス通電加圧焼結(SPS)処理を利用し、効率的にMg17Al12相の合成を試み、水素との親和性を調査した結果について説明。一定条件下でBM処理を行った粉末にSPS処理を行うことで結晶性に優れた合金相を得ることができ、水素の吸蔵を確認した。また、メカニカルアロイング(MA)処理を利用し、Mg2Ni相の合成を試み、水素との親和性を調査した結果についても説明。MA処理を8h行ったMg2Ni合金粉末は水素との親和性を示し、初期活性化処理なく約2mass%の水素を吸蔵した。一方、Mg2Ni合金へのメカニカルグライディング(MG)処理は水素との親和性を阻害することを明らかにした。

    

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