研究所案内:所長挨拶

地域社会との連携によって次世代の基盤技術を構築し、そして研究開発に繋げる

本研究所は産学官連携事業の強化と学内の研究活性化を目的として、1996年(平成8年)に工業技術研究所が工学部内に設置されたことに端を発し、2009年(平成21年)度の文部科学省「戦略的研究基盤形成支援事業」に採択されたことを契機にして、2010年(平成22年)に次世代基盤技術研究所として新設され、その後も発展的に改組されてきました。この発展には、歴代の所長(塩田俊雄教授、廣安博之教授、深谷保博教授、京極秀樹教授、角田勝教授)が地域との連携事業を重要視され、そして学内の研究をより活性化されたことなど、継続的に努力されてきた成果であり、この礎をさらに飛躍させることが望まれるところであります。

本研究所の役割は、次世代の基盤技術に関する総合的な調査に基づいて研究計画を策定し、持続可能な社会を実現するための技術開発と地域社会の技術発展に寄与することと考えております。そのために、この地域における企業、並びに各種研究機関の方々との連携窓口として機能する「社会連携センタ-」と、研究を推進する6つの「研究センタ-」の合計7センタ-の構成にしております。以下に、それぞれのセンタ-について、簡単に紹介しておきます。

「社会連携センタ-」は、共同研究(試験研究、寄附研究及び受託研究)や技術相談の産学官の連携窓口業務を行うとともに、工学部における研究機能を強化するための支援や知的財産の管理運営などを行います。また、この地域における金融機関や研究機関との包括連携協定を締結し、共同研究の円滑運営と実施や学部生への寄附講座として講師を派遣してもらうなど、各種コ-ディネ-ト業務を実施しています。

6つの「研究センタ-」には、「自動車技術研究センタ-」、「先端ロボット工学研究センタ-」、「3D造形技術研究センタ-」、「建築環境研究センタ-」、「先端化学生命工学研究センタ-」、並びに「サ-ビス工学研究センタ-」を配備しています。「自動車技術研究センタ-」は2009年(平成21年)から戦略的研究プロジェクトとして「地域連携による次世代自動車技術の研究」を発足させ、次世代自動車に必要とされる技術開発研究を展開しています。「先端ロボット工学研究センタ-」はロボットの制御機能を向上させるために必要なセンサ、アクチュエ-タ、人工知能などの基礎研究を構築し、ものづくり分野や医療福祉分野から宇宙・海洋の資源探査分野や人命救助など様々な分野まで、先端技術に活躍するロボットの開発を行っています。「3D造形技術研究センタ-」は次世代のものづくり技術として必要不可欠なレ-ザによる3D積層造形金属材料を実現するための最先端技術の研究開発と3D積層造形装置の開発を推進させ、この分野における世界的な研究開発の拠点化にも取り組んでいます。「建築環境研究センタ-」は広島の地域に適した木造住宅の研究を中心に、太陽熱や雨水や風などの自然エネルギ-を活用した住宅までの広範囲に亘る建築環境について研究しています。「先端化学生命工学研究センタ-」は生体材料、医薬品、機能性食品などの物質を創成することに始まり、細胞分化などの生命現象に関わる先端化学技術までの広範な研究開発を実現させるとともに、生物と機械の融合技術を導入した機能性材料の開発も推進させています。「サ-ビス工学研究センタ-」は科学的・工学的手法を用いた生産性及び付加価値の向上を行い、新規ビジネスを創出することを目指した研究を実践しています。

このように、各研究センタ-はいずれも地域企業や各種研究機関との連携を基本として研究計画を策定し、その計画を具現化するために参画した教員による連携チ-ムが構成され、研究遂行能力を強化して開発研究を実現させるところに特徴があります。企業との地域連携を充実させるための組織として「近畿大学工学部産官学連携推進協力会」を運営しております。この会員各位の皆様にはこういった研究開発事業の趣旨をご理解して戴き、ご協力とご支援を賜っており、工学部の各教員による研究の紹介や発表会、及び情報交換や交流の場を設定し、さらに社会人のリカレント講座などを活用して戴いております。

工学分野に役立つ研究のニ-ズは各企業でものづくりを実践されている皆様からの情報が最も重要であります。本研究所にはその情報の窓口が設置されており、さらにはその研究を遂行するメンバ-と組織も配置しています。地域社会と連携して、次世代の基盤技術に基づく研究開発を実践することによって、持続可能な社会を実現させるために少しでも貢献したいと考えております。

2017年(平成29年)4月
近畿大学 次世代基盤技術研究所
所長 旗手 稔